小学校課題の文言

敷地は駅にほど近く、その間を経済的に小学校と地域住民に深く関わる商店街が結んでいる。
小学校南面の坂道は地域住民の人通りも多く、既存小学校の生徒通用門は坂に面した一つだけのため、生徒は必ず坂を歩いて登校する。
既存の小学校では校舎は人通りの多い通りと商店街からの視線を避けるように配置され、視覚的には地域の営みから離脱している。

今回設計する小学校はで坂、商店街からの視線を積極的に受け止め、地域との想像的な共同体を志向する。



社会が、1983年の鈴鹿市の隣人訴訟に始まる法化社会化、90年台からの監視社会化などの規則化=象徴化がすすむのに並行して、学校空間では非学年別化、ゆとり教育、などの象徴の弱体化がすすむ。
このような流れの中で閉ざされた小学校を開くという命題が提示されるのは急激な社会の象徴化へのバックラッシュによるものであり、そこでの「開く」というのは視覚的に校舎を透明化しすることでも、地域とのアクティビティによるつながりをもつことでもなく、端的に非象徴的空間を社会の未来形としての小学校に希求しているに過ぎない。