12月16日

設計演習Aの課題を昨日出した。
なんかコチラの思い違い?もあって、出来上がったモノはなんとも惨めであったけれどカネと労力をかけた分の元は取れたように思う。

今回の課題は建築物の形態をデフォルメし、新たな機能を付加させた鞄に入るプロダクトを作る、というもの。
機能と形態の往復運動による蠕動をスタディし、そこに通底する建築のエキスを垣間みる。的な発想で自分は取り組んだ。

作ったのは東京タワーの形をデフォしたクリップ。
直接的にはクレヨンしんちゃんの大人帝国の東京タワーが今回のベースとしてある。
昭和という時代を通り抜けたおとな達がトラップとしての昭和の「におい」に強烈に引き込まれるのを平成生まれのしんちゃんが連れ出してトラップをエンジンとしてのベースに転換させるシーンは何度観ても心を改めさせてくれるが、その後の「ALWAYS」「二十世紀少年」ではこのトラップとしてのノスタルジーをその毒を敷衍し、改悪したかたちで所となく撒き散らせている。それは駄菓子屋のウルトラマンバッヂに象徴されるような種々雑多な小道具に仕組まれているのだが、ここに太陽の塔も並列されている。オトナ帝国の東京タワーでは昭和の終わる突端、二十一世紀を告げる鐘楼として大きな意味合いを持たされていたのに対し、太陽の塔の扱いには目も当てられない。この二つの塔にいったいどのような違いがあるというのだろうか?それはおそらくこれらの現在進行形での在り方に大きく起因しているだろうし、エキスとも考えられるだろう。

一方で現実わたしは東京タワーが好きだ。昭和を過ごしたこともないのにどことなく懐かしさ、古くから慣れ親しんだ感覚を覚えるからだ。だが経験したこともない昭和をどのように感じるというのか。またこのような感覚とトラップとしてのノスタルジーは何がちがうのかに向き合ったつもり。
クリップ自体はウルトラマンバッヂのようなアクリルのチープさの上に鉄板やガラスの加工成形で装飾する計画だったが、技術不足で断念した。